自分や大切な人を守るためのお金の知識が易しく解説されている本『貯金すらまともにできていませんがこの先ずっとお金に困らない方法を教えてください』。
著者の1人である税理士の大河内薫さんは、SNSなどでお金の知識について発信されています。
投資って危ないんでしょ?なるべく手は出したくないよ。
老後にお金が足りるか不安……。何から始めればいいの?
そんなお金に対して漠然とした不安を抱えている人や、税金や年金の基礎知識を身につけたい人に読んでもらいたい本です。
この記事では、本書の内容と読んだ感想をまとめていきます。
書籍概要&どんな人におすすめ?
書籍概要
タイトル | 貯金すらまともにできていませんがこの先ずっとお金に困らない方法を教えてください |
著者 | 大河内薫、若林杏樹 |
発行日 | 2021年9月27日 |
出版社 | サンクチュアリ出版 |
どんなことがわかる本?
本書を読めば、国によって準備されている制度がどのような仕組みになっていて、何に気をつけないといけないのかわかります。具体的には税金や年金、iDeCo、NISAなどです。
本書の目的は「お金をたくさん稼がせる」ことではありません。「今ある収入と資金で、どれだけお金と自分を守る力を高めるか」のお話です。その時一番重要なのが国の制度です。
『貯金すらまともにできていませんがこの先ずっとお金に困らない方法を教えてください』大河内薫著、若林杏樹著
お金に強くなることは、あなたと大切な人の人生を守ることです。
『貯金すらまともにできていませんがこの先ずっとお金に困らない方法を教えてください』大河内薫著、若林杏樹著
しばらく前、金融庁の報告書をきっかけに『老後2000万円問題』が話題となりました。金融庁の報告書をきっかけにしたこの騒動は、「年金だけでは生活することができないため、国民は各自で2000万円程度の資金を準備しなければならない」というものでした。
何もしなければ老後のお金が足りなくなると知り、不安になった人も多いことでしょう。
2000万円という数字はあくまで試算です。あたりまえですが、収めている年金が違えばもらえる額も変わってきます。足りない額が2000万より少ない人もいれば、多い人もいるのです。
どちらにせよ私たちがしなければならないのは、国の制度について知り、足りない分を把握して備えることです。
お金の話となると、日本人は「まずは貯金」と思いがちです。しかし本書の中では、「貯金だけしているとお金は減る」という衝撃の事実が語られています。
日本人が貯金にばかり頼るのは、お金に関する教育が充分になされていないことが原因です。著者の大河内さんも「日本の金融教育を変えること」が自らの使命であると感じているのだとか。
本書では大河内さんと漫画家の若林杏樹さんがタッグを組み、初心者には特に嫌厭されがちなお金の知識を漫画でわかりやすく解説しています。
毎年税金や年金を払っているけど、いまいちどういうものなのかわかってないという方でも読みやすい内容です。
こんな人におすすめ!
- 投資とか言われてもなんか怖い
- iDeCoやNISAという単語は聞いたことあるけど、よくわからない
- 老後に向けて何かしたほうがいいと思いつつ、何をすればいいかわからない
- 投資信託に興味がある
- お金の勉強を始めたばかり
印象に残ったポイント3つ
①貯金だけしているとお金は減る!?
「貯金をしていれば安心」という思考には、大きな落とし穴があります。
例えば、今1個150円で売られているアイスも、何十年か前までは100円で売られていた時代がありました。このようなモノの値上がりをインフレといいます。
世界各国の政府はインフレ率2%を目指しています。言い換えれば毎年2%お金の価値を減らすのが目標……!
『貯金すらまともにできていませんがこの先ずっとお金に困らない方法を教えてください』大河内薫著、若林杏樹著
銀行にずっと100万円を預けていると、その100万円で買えるものの量は減っていってしまうのです。
口座からお金の出し入れをする際には、手数料がかかることがあります。また、普通預金の利息は0.001%で、100万円を1年預けてももらえるお金は10円です。
つまり、貯金だけしていたのではお金はじわじわと減ることになるのです。
②資本収益率と経済成長率
所得には資産所得と労働所得があります。資産所得とは株や不動産などの資産によって得る所得、労働所得とは労働をして得る所得のことです。
資産所得によってもたらされる利益と労働所得によってもたらされる利益では、どちらが儲かりやすいのでしょうか。
フランスの経済学者であるピケティは、資本収益率5%>経済成長率2%であることを証明しました。
つまり、働いて給料をもらう人(労働所得)よりも、資産をもっている人(資産所得)の方が収入が増えるスピードが早いということです。
そのため、投資に目を向けた方がより効率的にお金を増やすことができます。
株式投資による利回りは一般的に5~7%が目安と言われています。これはピケティが出した資本収益率の数字とも一致していますね。
投資の神様と呼ばれるウォーレン・バフェットでさえ、平均利回りは約20%です。利回りが異常に高い投資話は詐欺であることが多いので気をつけましょう。
③インデックス型の投資信託とは?
投資信託とは、プロが選んだ株式の詰め合わせパックのことです。投資信託を買えば、いろんな会社の株式をちょっとずつ買うことができます。
いろんな会社に投資することはリスクの分散にもなります。もし単独で値下がりしている株式があっても、全体で上がっていればOKと考えることができるからです。
投資信託を買う際には、どんな基準で選ばれた詰め合わせバックなのか、ということがとても重要です。
世界には、日経平均株価やS&P500など、経済と連動する指数がいくつかあります。このような特定の指数と連動するように詰め合わされた投資信託をインデックス型といいます。
一方でプロが自分の経験や調査によって詰め合わせた投資信託をアクティブ型といいます。
アクティブ型はインデックス型以上の結果を出すことを目標としています。しかし、アクティブ型の結果がインデックス型よりも良くなることは滅多にないことがわかってきているのです。
インデックス型に投資する際にはどの指数に連動させるか、つまりどの国の成長に投資するかを選ぶことになります。
例えば日経平均株価に連動したものなら日本経済全体に、S&P500に連動したものならアメリカ経済全体に投資するイメージです。
世界を見渡すと、やはりアメリカ経済の成長は強いです。S&P500は過去70年ずっと上がり続けていますし、世界を席巻するアメリカ企業や人口増加などの観点から、今後も成長を続ける可能性は高いと思われます。
また、全世界の株価に連動する指数にはMSCI ACWIがあります。まだ歴史の浅い指数ですが、人類はこれからも成長すると考えられるので、こちらの指数にも期待できそうです。
読んだ感想
本書を読んで、日本の社会保障制度って意外としっかりしているんだなという印象を受けました。
年金がもらえないかもとか、投資詐欺にあったとかいうニュースばかりが先行すると、正しいお金の知識を得ることはできません。
老後に何が足りないのかを知るためには、まず国の制度で何が保障されているのかを知る必要があります。
私も本書を読む前は、iDeCoやNISAという言葉は知っているものの、内容はよくわかっていませんでした。本書の中では表を用いて比較がされているため、自分に必要なのはどちらか考えることができます。
私も本書を読んで、証券口座を開設しiDeCoの申し込みをしました。
知らないからといって恐れて何もしないのはもったいないです。お金について正しく知って、正しく制度を利用できるように、これからも勉強を続けていきます!